ブルガーコフ『モルヒネ』

『泰平ヨンの未来学会議』につづき薬物小説。

去年の今ごろぶりにブルガーコフを読む。
わたしはこのひとがほんとにほんとに好き。
非現実の恋をしてるように好き。ずっと思ってる。

でも非現実の側にいるのはわたしで、現実の側にいるはむしろかれの方で、わたしはかれが死んでいるなんてことはこれぽっちも意に介さない(介さない)。

かれの生気と比べれば、わたしなんてこの世に生を受けたとも言えない気がする。

ブルガーコフの小説ほど華々しいものを見たことがない。
ブルガーコフはすべての要素で究極的にふり切れている。

とても勇敢な気持ちになれる。
ふしぎなことだけど、「この時代を生きるのは苦しい」と思えばわたしはすこしだけブルガーコフに近づくことができ、かれを痛めつけた帝政末期から革命、初期のソ連の世界でわたしは癒されている。

この短編集について。
初期の作品をまとめたもので、ほぼかれの来歴に根づいた話しのよう。
表題作がいちばんよかった。洗練はされてないけれど、この(存在の耐えられない)軽さはかれがもって生まれたもになんだと知った。
ブルガーコフも作中の医者とおなじような境遇でモルヒネ中毒に苦しんだらしい。

インテリであるということは、かならずしも愚か者だということを意味しているわけではないのだ。
それで充分だ!
海がすぐ近くだ!海だ!海だ!
…………………

戦争対する呪いは今後永遠に!